メキシコシティに来たら、なにはともかく国立人類博物館に行くべし! メキシコ古代文明の集大成であるこの博物館は、世界でも有数の規模と内容を誇っている。質、量もさることながら、個人的には「ププ」とウケてしまうヘンテコな物が多かったのも印象的。結局丸1ページ、すべて博物館の写真になってしまいました……

 


博物館の内部は広々とした中庭があって、両サイドに時代別、地域別に区分けされた部屋がある。とにかく量が膨大で、2〜3日かけて回ってもじゅうぶんなぐらいだ

 

初めの部屋は人類学入門。いきなり登場した二足歩行の猿人像は実にリアル。これは最古の猿人として知られるルーシーをもとに作ったもの。そういえばルーシーの骨はエチオピアから発掘されたもので、私たちもかの地で見た記憶がある

「あ、これ教科書で見たことがある!」と思った人も多いのでは? 人類最古の絵画として知られるラスコーの壁画。意外に、なかなか上手い

 


角度によって、人間の顔がガイコツに見えるパネル。展示というよりもオブジェに近いものだけど、このセンス、なかなかイケてます。東京の地下鉄なんかに飾ってもおもしろいかも

メキシコに来てから、やたらガイコツを見る機会が多い。死者の日しかり、チチェン・イツァーにもガイコツをモチーフにした台座があったっけ。博物館にはこんな美しいガイコツもあります。メキシコ人のガイコツ好きは古代から続いているものなのね

 


実物大に復元されたケツァールコルト神殿。先日行ったテオティワカン遺跡にて、カバーに隠れていた例のあの神殿です。実物よりもレプリカのほうがずっと美しい(笑)

うこの博物館の目玉のひとつ、雨神チャルティトゥリクエ。テオティワカンの月のピラミッドの前に建っていたホンモノ。ピラミッドに合わせたのか、めちゃデカイ。こんなものが残っているなんて、メキシコってスゴイ! と感動したけど、よく見ると結構マヌケな顔だ

 

「あんだよー。なに見てんだよー」といちゃもんをつけてきそうな石像。この頃から早くも、「あ、こいつ変じゃない?」と不真面目な見学態度になってきたことを告白します

こっちは「にゃは! 僕のこと見てるでしょ!」って感じ? とにかくこの博物館には表情豊かな出土品が多く、「変なもの探し」だけでも飽きないのね

 


数は少ないけれど、こんな色鮮やかな壁画も展示されていました。色使いがなんとなくチベット仏教を彷彿とさせますな。これはテオティワカンのあとに中央高原に栄えたトルテカ文明のもの

メキシコの古代文明は、生贄がポピュラーだったなど、独特の宗教観がある。壁画にしても彫り物にしても、いままで見たこともないエキゾチックさが漂っている

 

トルテカ文明の中心地として栄えたトゥーラ遺跡の「戦士像」。身長163cmの私と見比べても、いかに大きいかわかるでしょ

原始人が使っていそうな巨大な石でできたコイン。本当はコインじゃなくて、この穴の中にボールを入れるゲームに使ったものだと思うんだけど……。説明書きがスペイン語だったので、正確なところは不明

 

「空気椅子」のポーズで固まっていた石像。大事な部分にヒラヒラが載っているのが笑える。って私たち、この博物館では失礼なことばっかり言っていたかも

この博物館のなかでも最大のスペースをとっていたのがアステカ文明のコーナー。博物館の中央に位置する広々とした部屋には、アステカの神々の石像などが目白押し。これだけ展示するだけでも大変だったろうなあ

 

なかでも最大の見どころが、この太陽の石。アステカ文明の暦を図形化した巨大な石。1年はちゃんと365日に区分されていて、それに沿ってアステカ人は農耕や宗教儀式を行っていた。また彼らの神秘的な宇宙観をシンボル化したものとしても知られていて、お土産なんかにこの太陽の石がプリントされたものも多い
アステカ文明の神様のひとつ。解説はわからなかったけど、この顔からしてまたしてもガイコツかと思われる。神様にもいろんな種類がいるところが私好みかも

 


こちらも神様のひとつを絵にしたもの。アステカ人って、美術的な才能も高い民族だったのね。このままステッカーにしてもいいかも
アステカの神様のひとつコアトリクエ。腰には切り落とされた首がついていて、よく見ると結構不気味なもの。この神様のバリエーションを見ていても、彼らがいかに創造的な民族だったかがわかる

 

「神様ばっかり見てないでさー、ちょっとは僕も見てよー」とふてくされて体育座りするサル像(想像)。大きいものもいいけど、こういう小さいものも見落とせないのね

続く部屋は、私たちも訪れたオアハカ地方のものが展示されていた。郊外にあるモンテ・アルパン遺跡のレリーフ、「踊る人」が有名。私たちはこのモンテ・アルパン遺跡はパスしてしまったけど、一説には遺跡内の主要な見所はすべてこの博物館に展示されているとか

 

壁画や石像に比べると、装飾品はやや地味目。金銀財宝が好きな私たちとしては、もうちょっとこの手のものがあるといいのになあと思った

ジャングルの奥深く、高度な文明を持って栄えたマヤ文明の部屋。私たちも行ったパレンケからの出土品も多く展示されているらしく、期待大

 

マヤ室の入口には、こんな精巧な石板が。目玉が入っていないところが、逆に迫力あり。なんだか日本の神社なんかにあっても違和感がなさそう

パレンケ遺跡の地下には王の墓があったことが知られている。このふたつの顔は墓と一緒に埋まっていた埋蔵品だ。王の顔をかたどったものなのかしら? 顔つきがどことなく日本人的なのが不思議

 


この博物館が広々とした印象を受けるのは、それぞれの部屋の天井が高いからだろう。それに負けず劣らず、かなり高さのある展示品が並んでいる
これもマヤ室にあったもの。いまどきのBボーイのような顔つきだけど、よく見ると大事なところがポキっと折れていてかわいそう……

 


私たちも行ったチチェン・イツァー、その神殿内部から発見されたのがこのチャック・モール像です。平和な顔をしていますが、こいつのお腹のうえ、平らになっているところに生贄の心臓を乗せたとか……


「なんだよ、そんな真剣に博物館なんて見てないでさー、俺たちと遊ぼうぜえ」、「そうだそうだ!」な土像。完全にいたずら小僧の顔をしてる

 


コレってば、かつて日本で大流行した人面犬じゃない? 誰かのマンガに似ている気もするんだけど……残念ながら思い出せず。壮大なものに交じって、こんなファニーなものがあるメキシコ国立人類学博物館ってステキです