お互いホームページを持ち、その存在をちらりちらりと意識し合いながら、ついにアフリカはジンバブエの首都ハラレでご対面した「世界一周デート」夫婦と「つあーめん」トシヤス。お互いパソコンを持っているというのもあり、ゲームやら何やらのデータを交換するうちに、案の定だらりだらりと沈没。ある日ふと、「ムダに沈没するのもなんだねえ」という建設的な意見がどこからか聞こえ、だったらちょっくら調子に乗って座談会でもしましょうか、ということになり……。たまたまそこにいた不幸な(笑)旅行者をムリヤリ司会にして、熱く語り倒した2時間の決定的記録! そこには「お互いに読者が増えるんじゃないの……?」なんて下心は微塵もありません、ホントに


※この記事は「つあーめん」との共同企画となっています

■目次
・これまでの旅の経緯
・ホームページ開設のきっかけ
・パソコン活用法について
・ホームページ裏話
・どっちがお得? 1人旅 or 2人旅
・旅に出て得たもの・失ったもの

 

■文中の表記
トモ:吉田友和(世界一周デート夫)
エリ:吉田絵里(世界一周デート妻)
トシ:トシヤス(つあーめん)
司会:Nさん(不幸な旅行者)

 

 

●これまでの旅の経緯

――では、さっそくですが、お互いが知り合ったきっかけというのは?
エリ:私はこの旅行に出る前からトシくんのホームページ知ってたよ。自分たちもホームページをやるにあたって、出発前にいろんな旅関係のホームページ見たりしてて。変わったサイトがあるなと……。
トシ:はははは。オレはうちのホームページでリンクしてるサイトにふたりの「世界一周デート」がリンクされてるのを見つけて。2人がカンボジアにいるくらいの時かな。
エリ:それって結構前のことだよね。
トシ:そうそう、デザインもきれいだし、アクセス数も多くて人気のあるページやなあって思って、それでずーっと読んでたらいきなり嫁さんが家出してて、 「旦那、大変やな」っていう(笑)。
一同:わはははは。
――一応これまでまわってきた国や経路についても教えてください。
トシ:とりあえず、はじめにバンコクに入って、そのあとラオス、中国。で、アジア横断してちらっとヨーロッパ通って、西アフリカ。そこで東アフリカ飛ぼうと思ったけど飛行機代高かったから、そのまま南米まで飛んじゃえって思って、それで南米が8か月くらいかな。で、お金にちょっと余裕があったからまたアフリカに戻ってきたところ。いま2年過ぎたくらい。このあとアフリカ大陸の東側を北上して、最後ちょこっとアジアに寄って帰国かなあ、予定としては。
トモ:オレらは去年の7月5日に出て、まずバンコクに入って、東南アジアをカンボジア、ベトナム、そこから中国入って雲南省、ウイグルを見て、チベットに入ってネパール。で、インドのボンベイからエチオピアに飛んでここまで南下してきた。いまで9か月くらいかな。
トシ:え、ウイグルのあとチベットっていうのはどっから? 西チベット? どうやってまわってきたの?
エリ:あー、それは一度ウイグルから敦煌に戻って、ゴルムドからラサに入った。
トシ:インドも長かったよね。
エリ:だいたい2か月くらいかな。
トシ:アジア横断している人ってインドからパキスタンに入るパターンが多いじゃない。オレが南アフリカに飛ぶ直前のブエノスアイレスにいる時くらいに2人はまだそのあたりにいたし、オレは南米だから、まさかアフリカで会えるとは思わなかったよね。
トモ:オレらもアフリカ来る予定なんて全然なかったんだけど、エリちゃんが寒いの苦手だからさ。
エリ:だってあのペースで横断してたら、トルコ1〜2月でしょ。それははきついでしょう。私たちもまさかトシくんに会えるとは思わなかったよね。すでに一度アフリカ抜けてるわけだし。
トシ:うん、ほんとたまたま。南米から日本には飛行機代高いし、帰りにくいってこともあったし。
エリ:それにしてもハラレ長いよねー。
トシ:長くなってしまったよね―。
エリ:今日でちょうど3週間だもん。
トモ:ところでなんでトシくん、南米がこの旅の目的なのにアジア横断してるの? そこの理由とかは?
トシ:理由ねー。とりあえず、バンコクまでは片道のチケット持ってた。やっぱ南米はこの旅行のテーマだったから行きたいなとは思ってたんだけど……。オレさ、ごはんでもそうなんやけど、おいしいとこ最後にとっとく人ねん。だからいきなり行っちゃったらやる気なくすなって思って。そんでどうしようかなーと思って。で、学生の時はけっこう東南アジアとか行ってたけど、ラオスは行ったことなくて。途中で会う旅行者みんなラオスはいいっていうし、これは行っとかなあかんなと。そしたらその先に中国があって……、オレ中国好きだからさ。飯食いてーって行ってしまったところから、どうしようかなぁって。なんか飛べなくなちゃって結局横断。2人はなんでバンコクからなの?
エリ:うーん、なんていうか、やっぱ旅はバンコクだよね(笑)。バンコクはやっぱ拠点にしやすいよね。
トシ:TC作ったりキャッシングもしやすくて便利だしね。帰りもバンコクなの?
エリ:うん、バンコク。あ、やっぱ帰りは香港アウトもいいかなあ。
トシ:うまい飯食って。
トモ:そうそう、やっぱ飯うまいところかな。買い物とかもしやすくてね。

自称「旅するゲーマー」、夫のトモカズ。パソコンに入ってるゲームは、ほかの旅行者の追従を許さない。おまけにゲームボーイ・アドバンスまで持ってる(笑)。今回が初の海外旅行なのに、あれよあれよという間にアフリカまで上陸

 

 

 

 

 

 

 

●ホームページ開設のきっかけ

――お互いの共通項ってなによりホームページを持っていることだと思うんですが、そもそもなんでホームページを作ろうと思ったんですか?
エリ:なんでだろうね。うーん、考えたことなかったよね。
トモ:うん……。
――読者はどんな人を想定してるんでしょう?
エリ:友人とか……っていうか、まあ、でもいちばんは記録を残したいってのがあったよね。誰かに見てもらいたいっていうよりも、自分たちの記録を残したいっていう。
トシ:あといまでこそ、お気楽に旅してるけど、やっぱ出る前は旅ってひとつの大仕事だったやん。そんななかでオレなんかは日記とかつける習慣とかまったくなかったから、書いてみようかなくらいの。
トモ:1個くらいやらなきゃいけないことがあってもいいかなって。
トシ:あとはやっぱ自慢したいなっていう。
一同:わはははは。
トシ:ちょっとね。南米とか旅行している人にとっては1、2年の長期旅行は全然たいしたことないかもしれんけど、普通の人からしたらやっぱ「すごいですね」とか言われて気持ちよくなる(笑)。
トモ:結構メールとかももらう?
エリ:ファンレター。
トシ:うんうん、あるある。
エリ:人生でこんなにファンレターもらうことないよねー。あ、ファンレター? みたいな(笑)。
トシ:あと旅行先で会う人から、「あ、知ってますよ」とか言われたりして。結構うれしいよね。 でもエリちゃんみたいにメルマガまで登録してくれてる読者にははじめて会ったよ。それにしても、2人のサイトのアクセス数はすごいよね。たぶんこの手のサイトのなかじゃ相当あるほうじゃない?
エリ:そうそう、さっきもその話してたの。「私たち結構イケてない?」とかいって(笑)。
トモ:旅に出る前にね、目標があったの。「google」って検索エンジンで「世界一周」って検索したときにいちばんはじめにヒットするようにっていう。googleの検索結果はいちばん人気があるページ、いかにほかのサイトに多くリンクされているかとかで順位が決められてるから。
トシ:いまどれくらい?
トモ:上から4番目くらい。
トシ:すげえ。その上はどんなのがあるの?
トモ:「世界一周ヨットの旅」とか、あと「のぶこのドキドキ世界一周」とか。
エリ:はじめは全然だったよね。それが徐々に。
トシ:凄いよね、8か月かそこらでアクセス数8万って。
エリ:やっぱ更新すると伸びるよね。サボるとてきめんにダメだけど。
トシ:そうそう、はよ更新せいっていう。
エリ:でもねー、私たちのホームページってコンテンツが多いから大変なのよー、ね? 言い訳だけど(笑)。
トモ:そうそう、写真も結構あるし、壁紙のコーナーとかもある。実はね、旅行には全然関係なくそこから入ってきて読者になってくれた人も多いみたいなんだよね。
トシ:え、そうなん。意外だねー。
トモ:なんかね、インターネットでダウンロードされるファイルでいちばん多いのが壁紙のデータなんだって。オレたちのホームページって壁紙サイト専門のリンク集とかにもリンクされてて、そっちから来てくれたりして。あんまりチベットの写真の壁紙とかってほかにはないみたいで、リピーターも多いみたい。
エリ:エサ状態(笑)。
トシ:意外なもんやね。サービス精神が大切ということで、勉強になります(笑)。オレの場合、逆に具体的にビザ情報が充実している旅行記とかをよく見るけどね。
エリ:そう、やっぱ旅行者はそうだし、一般の人は旅行記そのものに興味があるよね。
――実際の読者層というのは?
トモ:うーん、わりと旅行者じゃない人が読んでるみたい。
トシ:あー、うちもそうかも。
エリ:あと、結構年上の人も多いよね。70代くらいの人からメール来て「応援しています」って、あれはちょっと驚いたし、うれしかったなあ。
トシ:同じ新婚の人とかは?
トモ:それもある。奥さんが旦那さんに、「こういうのがあるから、私たちも行こうよ」みたいな。それで結局ベトナムに行ってきたって報告してくれたりして。長期じゃなくて短期の旅行にちょこちょこ行くような人からはメールもらったりするね。でもバックパッカーはそんなにいないんだよね。もしかしたら筋金入りのバックパッカーにとっては、オレたちのホームページって全然たいしたことない内容なのかも……。
トシ:オレもそう。ホームページでは必要以上にいばってるから(笑)。「旅のプロ」とかさんざん吠えておいて、やってることはツアーに参加したりとか、だからね。

新婚旅行なのに、「ふたり旅はアバンチュールがない!」とのたまう妻、エリ。カンボジアでは大ゲンカの末に家出したことも……。「旦那、大変やな」とトシくんから言われ、ちょっと反省

 

 

 

 

 

 

 

●パソコン活用法について

エリ:でもさー、旅行していると上には上がいるよね。
トシ:何にしてもね。期間にしても、ハードさにしても。
エリ:チャリダー(移動手段が自転車のツーリスト)とかね。すごいよね。そのへん私たちはダメダメ人間だからね。
トシ:あ、そのへんオレら共通してるよね。どちらかというとインドア派やし。自然好きだけど、不便なところダメやし。
エリ:そうそう、電源ないとこダメ(笑)。
トシ:あ、でも2人がほかの人よりすごいのって、モバイル装備があるんじゃない? これは自慢できる。
トモ:あ、それはそうかもね。でも、トシくんみたいにギターとパソコン両方持ってる人もあんまりいないんじゃない?
トシ:よっしゃ!(笑) ハーモニカとか、いまもどんどんいらんもの増えてるよ。
――これだけの機器を持ち歩いていて、故障することとかないんですか?
トモ:あ、CD-R/RWドライブが一度だめになった。それで友達に新しいの持ってきてもらって。
トシ:オレのパソコンはなんとかもってるよ。壊れたら帰る。
トモ:でもさ、トシくんみたいに2年も旅行してて壊れてないって、なんか勇気づけられるよね。
トシ:やっぱパソコンって便利じゃない。音楽もその辺でCD買ってきてMP3に落とせば、CD何枚も持ち歩く必要ないし。写真だって、これだけ長期で旅行していたらフィルム代、現像代だってバカにならないけど、デジカメ使ってデータで保存できるからね。
トモ:ゲームもできるし! リアルタイム旅行記でパソコン持ち歩いている旅行者は結構いるけど、自分以外でゲームをする旅行者はトシくんが初めてかも。
トシ:フランスまではゲームしなかったんやけど。フランスで会った人がファイナルファンタジー持ってて、はまってしまった。1人で旅行してると、夜宿に帰ってもやることないし、とりあえず“やるか”と。で、気がついたらドラクエとかもみんなクリアしてた。で、ますます移動できない(笑)。
トモ:ゲームしてるとか言うと、ほかの旅行者は「えーっ」て言うけど……。
エリ:旅とゲームは一致しないところがあるよね。「なんのために旅してるの?」みたいな。
トモ:でもさ、ドラクエとかは“旅感”があるんだよね。新しい知らない土地に行ったりさ。
エリ:だったらますます日本でできるじゃんってなるのかな。
トシ:でも旅行してると結構暇な時間とか空き時間あるからね。ゲームはそういうときにいい。
エリ:うん、暇つぶしになるし、パソコンあるのとないのとでは全然違うね。

ギターとパソコンを抱え、世界を股にかける自称「旅のプロ」(笑)トシヤス氏。つうか、彼のサイトは本当に笑えます。エリも旅立ち前からファンです。合言葉は「ファンレター、お待ちしております」

 

 

 

 

 

 

 

●ホームページ裏話

エリ:さっきの話に戻るけどさ、私たちのホームページって写真見てくれてる人が意外と多い。自分たちの写真もがんがん載っけてるのは案外よかったのかも。
トモ:ネット上に個人情報のっけまくり(笑)。
エリ:水着までのっけてるからねー。んなもん、見せるな! みたいな(笑)。
トシ:オレもそうかも。写真主体の内容ではないんやけどさ、オレのって結構ボケとか多いせいか、“タリバンズ”ネタとかで観客が沢山集まってるのこととかを、ウソやろって思う人もたまにいるみたいで。だから証拠写真って意味で。基本的には事実やしね。
――ネタをつくるためにわざとなにかしてみたり、どこかにでかけたりすることってありますか?
トシ:オレむちゃむちゃある。
トモ:何か日常で起こったこととか、これはネタになるかな、とか常に頭の片隅で考えてるところはあるよね。
エリ:あるねー。あと、読者は常に不幸を求めてるよね。
トシ:そうそう、普通のこと書いてもやっぱおもろくない。オレ、メールで「死なない程度にがんばってください」ってのよくもらうよ(笑)。
エリ:“ウルルンよりも不幸を!”ってね。
――だと、とてつもなくムカツクこととかがあっても、あ、これはネタになる、ってどこか冷静な自分がいたりするんですか?
トモ:うん、チベットで公安に捕まったときも、なんとかここ写真撮れないかなー、みたいな(笑)。
トシ:あとオレよく女の子ネタとかあるじゃない。そういうのって、もしうまくいったら読者的にはおもしろくないんだよね。すごい複雑やわ〜。
一同:はははは。
トシ:だから売春宿ネタとかもあるんやけど、女の子が普通にかわいかったらおもろくないやん。それで詳しいやつとかに聞いて、わざと妖怪ハウスとかに連れて行ってもらったりもする。やっぱ読者はね、そういうの求めている気がすんだよね。2人のとこなら(カンボジアでの)家出ネタとかよかったんじゃない。
トモ:うん、あれも結構反応あった。
エリ:なんかウルルンネタばっかりだと疲れるっていうか。書くほうもやっぱり「すごい感動した」なんてのは書きにくいしね。
トシ:逆にいい観光地なんて、ほんまネタないよ。ビクトリアフォールズとかも期待どおりにすげかったもん。それだけ。つっこむとこない。さすがに最近ネタつきてきてしんどいわ。だからなんかおもろいこととか見たり思いついたりするとメモったりしてる。
エリ:最初の頃と感動する基準が違うというか、新鮮さが失われつつあるというか……。
トシ:そうそう。基本的に旅って非日常で、だからこそそこで起こった何を書いてもおもしろいんだけど、これだけ続けてると旅も日常になっちゃって、普通じゃほんまおもろくない。
トモ:最初の頃と、明らかにモチベーションが違う。
エリ:そうだねー。私たちの「ハトのえさ、1500円也(タイ編)」も、もうネタにならないよね。

昼間ってこともあり、健全にコーラとファンタで対談。ツマミはしおれたフライド・ポテトで……

 

 

 

 

 

 

 

 

●どっちがお得? 1人旅 or 2人旅

――1人旅、2人旅のメリットあるいはデメリットというのはありますか?
エリ:あー、2人だとやっぱね、ごはんがシェアできる。中華とか特にね、いろいろ食べられるし。
トシ:あるねー。
トモ:あと、宿もシェアできるから安くあがるし。
トシ:ぶっちゃけデメリットもあるでしょう。言っちゃえ言っちゃえ(笑)。
エリ:あるあるあるよね〜。だいたいね、片方の機嫌に引っ張られるよね。1人が機嫌悪くなると、もう1人も機嫌悪くなるよね。
トシ:なるほどね。
トモ:あと、値段交渉の妥協ラインが違う。
一同:あぁー。
エリ:あー、それはよく喧嘩するよね。私はね、がんがん値切ったりできないのね。でもトモちゃんはー。
トモ:でも、エリちゃんもタクシーとか厳しいじゃん。運ちゃん相手に結構怒ったりするし。
エリ:それはインドだけでしょう。だってむかつくんだもん、ほんとに(笑)。
トシ:じゃあ、2人のうちどっちがよく怒ってんの?
トモ:うーん、それはー。
エリ:はは、お互い相手だと思ってるよ。まあでもそれは半々じゃないの。
トモ:あと、2人でいるのが当たり前で、だんだんプライベートとか別に必要じゃなくなってきた。普通1人でいるときと2人でいるときって違うじゃない? でも最近2人でいても1人でいても同じ、みたいな感じで。
エリ:確かにね。あとほら、デメリットはアバンチュールがないってことじゃないの(笑)。
トシ:まちがいない、それは!
エリ:やっぱそれは絶対あるんじゃない、フフ。
トモ:旅行してるとたまに会うんだけど、お互い1人旅の男の子と女の子が現在は一緒に行動してていい感じになってる、とかいうのはもうないだろうし、そういうのってちょっとうらやましいね(笑)。
エリ:それは女の子もそうだよ。「コレできな〜い」とかいうと誰かが助けてくれる、ってのもないし(笑)。
トシ:あー、そうだね、現地人の男とかも1人旅の女の子には優しいでしょ。
エリ:そうそう。
トモ:あと旅行者の人口比率からいって女の子のほうが少ないじゃない。だから男2人と女の子1人とかで、はじめばらばらでも途中で合流して旅行してるのとか楽しそう。なんか男どうし、女の子取りあいしたりして。
エリ:あはははは、もうラブアフェアはないね。
トシ:コロンビアとか、女の子かわいいよ〜。
トモ:じゃあ、南米は別行動ってことで(笑)。
エリ:うわー、合流の日設定しても帰ってこないとか。
トシ:じゃあホームページ上でお互いの行動をはじめて知るってのはどう?
エリ:それ、こわいねー。でも家出したときはそうだったんだよね(笑)。

時間を決めなければ、いつまででも対談は続きそうななごやかな雰囲気でした。不幸な旅行者Nさん、巻き込んでゴメンナサ〜イ

 

 

 

 

 

 

 

●旅に出て得たもの・失ったもの

――では、最後に、旅の意義みたいなものを聞いておきましょうか、一応。
トシ:2年旅行してるけど、俺は旅そのものは飽きてないんだよね。
エリ:私たち結構、アフリカ入ってからだらだらしてしまってるところがある。
トモ:旅で失ったものは仕事? それから貯金。お金、お金。
トシ:オレらもうエリートコースからははずれちゃってるからね(笑)。でも旅行してるヤツは開き直ってるよね。
エリ:こういう生活をおぼえてしまったことで、忍耐力とかなくなってるよね。
トシ:やっぱ……寝たいし。
エリ:そうそう、いつも眠いよね。
トシ:朝6時発のバス出発とかむかつくもん。よく「がんばってください」とかメールもらうけど、がんばってないから(笑)。
エリ:そうだねー。
トシ:あと、女友達。男友達はちょっと連絡しなくても大丈夫だけど、距離感が違うせいか異性の友達は減ったね。
エリ:それをいったら、(付き合いの)うすい友達は減ったよね。厚い友達は残るけど。
トシ:それはいいことでもあるよね。それに旅行で新しく友達ができるし。日本で普通に生活してたら出会えないような、職業とか離れた年代の人とも上下関係なしに知り合えるし。オレはほんまありがたいけど、そういうの多いよ。日本に帰っても会いたい友達いっぱいいる。
エリ:仕事忙しかった時は、ほんと遊んでいる暇もなかったし、出会える暇もなかったし。あと失ったものといえば、オシャレ心は失ったね。ずっとお化粧してないし。バックとか、服とか、もう高いものは買えないなあ。
トシ:ホームページに書いてたよね。10代のときの(服飾費の)投資の10%もいまは生きていないって。
エリ:そうそう、あの頃はガンガン買ってたけど。たとえば30万円のもの買うならいまは旅行したいな。経験とか、消えてなくなるものにお金をかけることのよさを知ったという。
トシ:車とかも。
エリ:あ、でも私車はいいのほしいなあ(笑)。まあでも、私たちお金使うの結構好きだから、日本帰ってもあんまり貧しい生活はできないと思うこともある。
トモ:うんうん。
エリ:でもさー、話ちょっとずれるけど、時々ちょっと違うなーと思う日本人旅行者に会うことはあるよね。とにかくとことん安いことを追求してて。
トシ:あるねー。なんか知ってる旅行者に聞いたんやけど、ここで知り合った旅行者6人でビクトリアフォールズ行ったとき、みんな1等の寝台乗ったのに、1人だけわざわざ2等に乗って現地までばらばらに行ったヤツがいたらしいよ。
エリ:それは変だよね。
トシ:だって、寝台で十数時間乗ったところで300、400円の違いやで。せっかく物価安いのに。
トモ:でもさ、実際に出発前と金の価値観変わったよね。
エリ:100円、200円のことででむきぃーってなるよね(笑)。
トモ:まあそれは時と場合によるけど。
トシ:日本ならさ、ビジネスホテル泊まって、8000円のところが消費税上乗せされて会計で8400円って言われてもまあ普通に払っちゃうけどね。こっちだったら、最初にこれだけって言ったやん、絶対払わねー! みたいな(笑)。
一同:そうだね。
エリ:あと失ったものといえば、これだけ放浪生活してると日本で1か所に定住生活できるかどうかってのが不安あるよね。
トシ:マイホームで30年ローンってのはつらいよね。まあもしレールはずれてなければ、そんな風に思わなかったのかもしれないけど。
――じゃあ得たものというのは……。
エリ:意外と誰ともコミュニケーションとれるってわかったことはある。英語が話せる話せないじゃなくてさ。その気があれば中国人とでも結構コミュニケーションとれるし。逆にいうと、英語はそこまで重要ではないな、と。
トシ:そうそう。あと、どこでも生きていけるっていうのがわかった気がする。
エリ:それから地理に詳しくなったこともある。
――お2人はともかくとして、この旅が初の海外旅行でもあるトモくんは?
トモ:うーん……いっぱいあり過ぎて浮かばない。
エリ:得たものはひげでしょう。
トモ:そうだね。あとは……。
エリ:ゴキブリが怖くなくなったとかかな。あとはやっぱホームページかな。
トモ:なんか20年くらいあとによかったなって思えそう。
エリ:いい思い出になるよね、きっと。
トシ:じゃあ得たものでもっとも大きいのはファンのみなさんでしたってことで(笑)。これからもよろしくってことで締めでしょうか。
――はい、長い間ありがとうございました。

(2003年3月 ジンバブエ ハラレにて)

 

 

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